動脈硬化性疾患とは?

動脈硬化とはどんな状態ですか?その原因は?

全身に栄養分や酸素を行き渡らせる動脈には、心臓の収縮に伴う圧力に耐えるため動脈壁(内膜・中膜・外膜)が存在します。エネルギー源としての脂質や構成要素としてのコレステロールはこの内膜を通過して取り込まれますが、変性したり溢れたコレステロールが内膜の下へ蓄積した状態が動脈硬化であり、その部分をプラーク(粥状動脈硬化巣)と呼びます。

動脈硬化プラークが形成される原因としては脂質異常[総コレステロール・LDL(悪玉)コレステロール・トリグリセライド(中性脂肪)の増加あるいはHDL(善玉)コレステロールの低下]・糖尿病(耐糖能障害)・高血圧あるいは喫煙の他に、肥満(メタボリックシンドローム)をきたす生活習慣の悪化などがそのいずれかあるいは複数重複することによって起こると考えられています。

 動脈硬化を調べる方法はありますか?

実際に症状が出る前から動脈硬化による病変が出現しているか、またどの程度まで進行しているかを知ることは、生活管理や治療の方向を決める上で重要です。

動脈硬化による病気を起こした後では血管造影法などを含めた負担のある検査も行いますが、まだ症状がない方の場合にはできるだけ負担のない検査を行うことになります。これは血管の形を見る検査法(超音波検査やCT・MRIなど)と血管の機能を見る検査法(ABI、baPWV、CAVIなど)の2つに分けられます。

超音波では首の動脈を観察すると壁の厚さやプラークの沈着、血流の速さが観察でき、どの程度進行しているかわかります。機能を見る検査では将来の危険性を予測するなど活用されています。

いずれにおいても、対象となる方それぞれの状況に応じてこれらの検査から選び組み合わせて評価することが重要です。

冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)とはどんな病気ですか?

心臓への血液供給は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする左右の動脈が担い、あたかも冠をかぶったように心臓の周りを走行するため、それぞれ左冠動脈(その後に前下降枝と回旋枝に分かれる)と右冠動脈と呼ばれています。冠動脈疾患とは、冠動脈の狭窄(狭心症)や閉塞(心筋梗塞)で心筋への血流が阻害され、心臓に障害が起こる疾患の総称です。

冠動脈に動脈硬化がおこることで、内腔が狭くなったり、血管が痙攣を起こして一時的に心筋の酸素不足になるのが狭心症です。血管の高度な狭窄や血栓などが詰まって血流が止まり、その先の心臓の筋肉に酸素が供給できなくなって、心筋が壊死してしまうのが心筋梗塞です。

狭心症の発作は、主に胸の中心付近が圧迫される強い痛みを感じる人が多いのですが、みぞおちのあたりに漠然とした痛みを感じることや、のどやあご、左肩や左腕、背中、歯が痛む場合もあります。多くは数分(長くても15分くらい)安静にしていると痛みが治まります。一方、心筋梗塞の場合、30分以上長く続くのが特徴です。

脳梗塞(非心原性)とはどんな病気ですか?

脳梗塞は、脳の血管が細くなったり、血管に血栓が詰まったりして、脳に酸素や栄養が送られなくなるために、脳の細胞が障害を受ける病気です。

脳梗塞の症状は、閉塞する血管の場所により異なりますが、めまいやふらつきで立てなくなって倒れたり、言葉がうまく話せなくなったり、目が見えなくなったりします。また、感覚障害と運動障害は梗塞の起きた反対側の身体に出るので、左側だけ(もしくは右側だけ)がしびれることや力が入らないこともあります。また、認知症の原因となることがあります。

 そのほか動脈硬化が原因の病気はありますか?

動脈硬化による病気は全身の動脈に起こります。末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease, PAD)では主に足の股から先、膝や足先に至る様々な場所で動脈硬化により血管が狭くなりさらに詰まります。当初症状はありませんが、その後間欠性跛行(歩行すると痛くなり歩けなくなりますが休むと再び歩けるようになる)や安静時にも冷感や痛みを感じるようになります。ABI検査によって血圧の低下を評価することが可能です。

また胸やお腹の大動脈に動脈硬化をきたすと狭くなることもありますがこぶ状に膨れて大動脈瘤となり、大きくなると破裂し出血で生命の危機となります。このほか、解離性大動脈瘤と言われる血管が縦に裂ける病気もありこれも死の危険があります。

いずれの病気においても、適切な血管の検査と動脈硬化を悪化させる病気の予防・治療が重要であることは言うまでもありません。

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