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メタボリックシンドローム診断基準検討委員会

メタボリックシンドローム診断基準が発表されました

松澤 佑次委員長のもと2004年4月に発足したメタボリックシンドローム診断基準検討委員会は,日本動脈硬化学会,日本肥満学会,日本糖尿病学会,日本高血圧学会,日本循環器学会,日本内科学会,日本腎臓学会,日本血栓止血学会から選ばれたメンバーにより,わが国における独自のメタボリックシンドローム診断基準を設定すべく討論を重ねてきました。委員会の尽力の結果,ついに診断基準が完成され,発表されました(メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:メタボリックシンドロームの定義と診断基準.日本内科学会雑誌,94(4):794-809,2005)。

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会報告

2002年10月のWHO World Health Reportによれば,世界の全死亡のうち30%までがcardiovascular disease(心血管疾患)に起因するということです。心血管疾患発症の背景には高血圧,脂質代謝異常,肥満など複数の危険因子が重複して存在し,しかもこれらの危険因子は成因上密接に関連していると考えられています。
 このように複数の危険因子が重複して高頻度に生じる病態は「メタボリックシンドローム」と呼ばれ,WHOや米国のAdult Treatment Panel IIIによって診断基準が提唱されていますが,生活習慣や人種によりシンドローム構成要因の頻度などが異なることから,わが国独自の診断基準の策定が待たれていました。
 2004年4月,松澤 佑次委員長のもと各学会から代表者が選ばれ,ついにわが国におけるメタボリックシンドローム診断基準の検討委員会が発足しました。本誌では,委員会事務局のご協力を得て,会議において検討された内容をご紹介したいと考えます。診断基準が策定されるまで随時経過をご報告していきますので,ご一読をお願いいたします。


メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームは耐糖能異常,高脂血症,高血圧を合併する動脈硬化易発症状態である。高コレステロール血症に対する対策がほぼ確立された現在,動脈硬化疾患の重要な予防ターゲットとなっていることに加え,ライフスタイルが関与する多くの病態を含むことから,多数の分野から注目されている。  しかし,海外でも複数の診断基準が発表されており少し混乱が生じている。病態を正しく認識し,日本人に即した診断基準を作成することが日本人の予防医学上重要であり,世界に向けた発信にもなる。このような経緯を基盤として,メタボリックシンドローム診断基準検討委員会が立ち上げられた。


診断基準委員会メンバー

 構成委員は以下のごとくで,メタボリックシンドロームが多岐にわたる疾患を含んでいることから,日本としての統一的な基準作成のため,多数の学会より代表者が集まった構成となっている。


委員長 松澤 佑次 日本動脈硬化学会 片山 茂裕 日本高血圧学会
北   徹 日本動脈硬化学会 久木山 清貴 日本循環器学会
齋藤  康 日本動脈硬化学会 代田 浩之 日本循環器学会
寺本 民生 日本動脈硬化学会 藤田 敏郎 日本内科学会
中尾 一和 日本肥満学会 槙野 博史 日本腎臓病学会
宮崎  滋 日本肥満学会 池田 康夫 日本血栓止血学会
清野  裕 日本糖尿病学会
山田 信博 日本糖尿病学会 船橋  徹 委員会事務局
島本 和明 日本高血圧学会 中村  正 委員会事務局

第1回委員会

2004年4月8日,第1回委員会が開かれた。まず松澤委員長による本委員会発足の経緯についての説明後,米国National Centers for Environmental Prediction(NCEP),欧州International Diabetes Federation (IDF)の合同委員会におけるメタボリックシンドロームの概念,病態,合同診断基準の作成経過などについて報告があった。ついで各学会の代表委員から,各学会におけるメタボリックシンドロームの検討状況について現状が報告された。


第2回委員会

第2回委員会は2004年6月26日に開催され,松澤委員長から世界におけるメタボリックシンドロームの動向について説明の後,わが国の肥満症診断基準作成経緯とマルチプルリスクについて,事務局中村から報告があった。また槙野委員がリスクファクターとしての微量アルブミン尿に関する文献について紹介した。
 IDF, NCEP合同会議の意向をもとに,わが国でも定義として腹腔内脂肪蓄積(ウエスト周囲径など)を必須項目にしてプラス複数のco-morbidityが存在する状態とすることに委員の同意が得られた。


第3回委員会

第3回委員会は2004年8月27日に開かれ,島本委員から端野・壮瞥町研究によるわが国の動脈硬化マルチプルリスク合併状態について報告があり,診断基準の基礎資料として今後の解析方法などについて意見が交わされた。事務局中村からは尼崎市職員健診におけるメタボリックシンドローム頻度について報告があり,意見が交わされた。  診断基準の骨子が討議され,IDF, NCEPの新しい合意と原則的に一致する,腹腔内脂肪蓄積,プラス2つ以上のco-morbidityとする案が合意された。メタボリックシンドローム診断項目のカットオフポイントの設定について,各担当学会が提案し,事務局にて報告書としてまとめることになった。次回は,報告書ができ上がったところで,それを基に意見交換することになっている。


謝 辞:診断基準検討委員会にご協力くださる日本肥満学会,日本糖尿病学会,日本高血圧学会,日本循環器学会,日本内科学会,日本腎臓病学会,日本血栓止血学会に感謝申し上げます。


(委員会事務局 船橋 徹)
2004年12月