日本動脈硬化学会について
理事長挨拶
日本動脈硬化学会 理事長  平田 健一

日本動脈硬化学会理事長
平田 健一
 この度、山下静也前理事長(りんくう総合医療センター院長)のご退任に伴い、一般社団法人日本動脈硬化学会の第11代理事長を拝命しました神戸大学の平田健一です。日本動脈硬化学会は設立から48年に及ぶ伝統ある学会で、会員数は2019年4月1日現在、2,433名にのぼります。このような学会の代表を務めさせていただくことになり、大変光栄に存じますと共に、その重責に身の引き締まる思いです。
 日本の平均寿命は世界第2位と超高齢社会となる中で、平均寿命と健康寿命との間には大きな乖離があります。健康寿命の延伸には動脈硬化性疾患の予防が最も重要な課題です。日本動脈硬化学会は、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」や「メタボリック症候群の診断基準」の作成など、動脈硬化性疾患の予防、診断、治療に多大な貢献をしてきました。超高齢社会の日本において、動脈硬化学会の果たす役割は益々大きくなっています。
 動脈硬化学は基礎研究と臨床研究が一体となって発展してきました。基礎研究では、病理学やスタチンの発見と開発などリポ蛋白などの脂質代謝研究から始まり、さらには血管生物学において独創的な研究が行われてきました。臨床研究では、冠動脈疾患、脳血管障害などを対象とした疫学的な研究、新しい診断法や治療法の開発などに関する重要な研究が行われてきました。これらの研究成果を中心に、わが国でのエビデンスを集積し、動脈硬化性疾患予防ガイドラインを作成し、その普及に務め、大きな成果をあげています。一方で、LDLコレステロール以外のメタボリックシンドロームや糖尿病などの他のリスクに対する介入が重要で、多くの関連する学会や研究者と連携することが求められています。また、わが国におけるエビデンスの集積とガイドラインの作成を行うと同時に、アジアを含め国際化を推進することが必要です。国際動脈硬化学会(IAS)やヨーロッパ動脈硬化学会(EAS)、アジア太平洋動脈硬化・血管疾患学会議(APSAVD)と連携して、アジア地域の動脈硬化研究を推進していきたいと思います。
 本学会は学会誌としてJournal of Atherosclerosis and Thrombosis (JAT)を発刊し、動脈硬化学の最新の情報を発信してきました。最近では、年間約400件以上の投稿論文数があり、2018年のImpact Factorは3.478と伸びており、さらに国際的な学術雑誌としての発展を目指して行きます。  動脈硬化に関する研究は20世紀に大きな発展を遂げてきました。しかし、動脈硬化性疾患をさらに予防するためには、生活習慣に介入するチーム医療が重要であり次代を担う若い人材の育成が重要です。本学会会員の若い力を結集し、動脈硬化に興味のある医師のみならず、看護師、管理栄養士、臨床検査技師などの多くのメデイカルスタッフにも動脈硬化学会に参加していただき、活発に学会活動できるような場を提供したいと考えています。学会の裾野を広くすることによって、動脈硬化疾患にならないための社会への啓発活動を多方面から推進していきたいと思います。
 これから2年間全力を傾けてこれらの課題に取り組んで参ります。会員の皆様におかれましては、御指導、御支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和2年4月
平田 健一